こんにちは。古原鍼灸院です。
シルバーウィークも終盤ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
先週は見事に台風14号が直撃でしたから、この3連休に予定を詰め込んだ方も多いのでは。
さて、昨日9月23日は祝日『秋分の日』でしたが、この秋分の日がどんな意味を持つか、ご存知でしたか?
今回は、東洋医学の基本でもある“陰陽論”をテーマに、秋分の日を解説してみたいと思います。
『秋分の日』の一般的な解釈
秋のお彼岸である『秋分の日』、一般的な解釈としてよく知られているのは、「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日」というものでしょう。
そもそも彼岸とは…?(ざっくり解説)
仏教では、三途の川を挟んだ向こう側の世界、つまりご先祖様のいる極楽浄土のことを「彼岸」、反対に私たちの生きる現世のことを「此岸」と表すそうです。また「彼岸は西」「此岸は東」に位置していると考えられています。
3月の春分の日と9月の秋分の日は、太陽が真東から登り真西へ沈んでいくことから、「彼岸」と「此岸」との距離が最も近い日というわけです。以上の理由から、春のお彼岸、秋のお彼岸にはお墓参りに行くなどして、祖先への感謝の気持ちを表す風習が定着していったのですね。(その歴史は古く、平安時代にはすでに存在したんだとか?)
ちなみにこの風習、仏教のルーツであるインドや中国には存在しないらしく、日本独自の文化だそうです。
(僕自身も昨日、朝6時から母と2人でお墓参りに行ってきました。夜はちゃんとおはぎも食べました。)
(毎年感心するのですが、彼岸花って、ちゃんとお彼岸のタイミングで咲きますよね。やはり自然界ってすごい。)
そしてもう一つ、秋分の日といえば、「昼と夜が同じ長さになる日」なんてお話を聞いたことはないでしょうか?
今回取り上げるのはこちらの方です。
理屈としては、お彼岸の解説でも触れたように、“太陽が真東から真西に沈むから”という説明でもよいのですが、同時に“陰陽論”でも説明ができます。
陰陽論って、何?
古代中国の思想家たちは、この宇宙に存在する形あるもの、現象はすべて、“陰”と“陽”という対立する2つの性質に分けられると考えました。そしてこれを、自然界を解釈する上での基本的な観点としたのです。
陰の性質
静か、内向的、下降する、寒冷、暗い などのイメージ
例)下、内、夜、冬、北、水、月、女性、老人、お腹、下半身 など
陽の性質
活発、外交的、上昇する、温熱、明るい などのイメージ
例)上、外、昼、夏、南、火、太陽、男性、幼児、背中、上半身 など
いくつか例も挙げましたが、ややこしいのは、たとえ陰と陽に分けたとしてもその一つをさらに陰と陽に分けられるという点です。
たとえば夜は陰、昼(日中)は陽となりますが、昼も午前は陽中の陽、午後は陽中の陰となります。女性は陰、男性は陽となりますが、女性も体で分けるとお腹側が陰、背中側は陽となります。
つまり、宇宙に存在する物事は、どんなものも陰と陽に“無限に”分けることができるのです。突き詰めてもキリがないので、「そういうもんだ」と理解してください。
“陰”と“陽”はどちらが良い悪いではなく、どちらも必要で、両者がバランスよく巡り合っていることが重要です。絶対的なものではなく、相対的に両者が存在しているのです。
その関係性は波のように常に変動しながら、お互いを抑制したり、サポートし合ったりしているんですね。
ちなみに、皆さんも無意識のうちに一度は陰と陽を使ったことがあるのではないでしょうか?
例えば「あの人は陽気な人だ」とか「あの人はなんだか陰気臭い」とか。まさに陰と陽ですね。特に学生や若い人は「陰キャ」「陽キャ」なんて言葉もよく使っていますね。
学生時代の化学の授業では、「陰イオン」「陽イオン」というワードも聞き覚えがあるはずです。
このように僕たちの身の回りには、実は東洋思想が溢れているんです。
陰陽の流れを日本の四季に当てはめてみると、、、?
何となくお分かりいただけますでしょうか??図にもあるように、ポイントは4ヶ所!
『春分』『夏至』『秋分』『冬至』です。
(本当はもっと細かく二十四節気とか、七十二候とかありますが、今回は全力で割愛します!!)
春分・・・冬至から発生した陽の気が増してきて、陰の気と同じ割合になる日。秋分の日と同様、昼と夜が同じ長さになる日です。この日を境に昼の時間が長くなっていき【 陽の気>陰の気 】、夏至へ到達します。
夏至・・・陽の気が最大になる日です。1年の中で一番昼の時間が長い日とされています。この日、陽の気が最大になりますが、同時に極限に達した陽の中に陰が生まれます。(夏至へと向かう過程で陰の気は消失していくのですが、夏至によってまた新たな陰の気が発生するイメージです。)
この日から徐々に陽の気は減少、陰の気は増大していきます。
秋分・・・夏至から発生した陰の気が増してきて、陽の気と同じ割合になる日。春分の日と同様、昼と夜が同じ長さになる日です。この日を境に夜の時間が長くなっていき【 陽の気<陰の気 】、冬至へ到達します。春分の日と反対ですね。
冬至・・・夏至の反対で、陰の気が最大になる日です。1年の中で一番夜が長い日とされています。この日、陰の気が最大になり、同時に極限に達した陰の中に陽が生まれます。この日から徐々に陰の気は減少、陽の気は増大していきます。
このように、陰陽論を用いても秋分の日は「昼と夜が同じ長さになる日」という意味を説明できましたね。
東洋思想にあまり関心がない方も、豆知識程度にぜひ覚えておいてください!
これから本格的に秋へ突入します
東洋医学では、秋の期間のことを“容平”と言い、それは“ものの形が定まっていく季節”です。
イメージで言うならば、春から夏にかけて放出していたエネルギーを徐々に落ち着かせる期間です。
また、秋はなんとなく哀愁漂うというか、物寂しい気持ちになってしまう感じがありますが、できるだけ心を豊かにゆったりさせてあげると良いでしょう。過剰に動き回ることはおすすめしませんが、何か楽しいことを見つけて、秋を満喫してみてください。
紅葉を見に行ったり、お気に入りのカフェで読書をしたりなど、個人的にはおすすめです。
朝晩は冷えるのに日中はまだ半袖で過ごせたり、温度調整が難しい時期でもありますが、基本的には冬へ向かっているので、体を冷やさないようにすることが大切です。この時期に体を冷やすと、呼吸器系の症状を引き起こしやすいので注意してくださいね。
今回は秋分の日にちなんで陰陽論のお話をしてみましたが、いかがでしたでしょうか?
まだまだ僕も勉強中なので、また面白いお話があれば、ご紹介したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。